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制服のようにニュートラルな KIJIMA TAKAYUKI 別注ジェットキャップ

<EUREKA FACTORY HEIGHTS>(以下、EUREKA)によるコラボレーションプロジェクト。今回ご紹介するパートナーは<KIJIMA TAKAYUKI>です。デザイナーの木島隆幸さんには 2018 年、<EUREKA>で開催したハットのカスタムオーダー会のために、2 日間も店頭に立っていただきました。90 年代から帽子づくりの一線で活躍している木島さんのアドバイスを基にオーダーできるという貴重な機会は、お客様だけでなく僕らにとっても刺激にあふれる経験でした。

<EUREKA>代表の小林は<KIJIMA TAKAYUKI>のジェットキャップの大ファン。その愛から僕らだけのジェットキャップを製作していただきました。勢い余ってカラー展開は全 4 色。品良く落ち着いたトーンのジェットキャップは、どんなスタイリングにも合うニュートラルなアイテムです。木島さんにご自身のものづくりと別注ジェットキャップについて語っていただきました。


Edit & Text: Shota Kato(OVER THE MOUNTAIN)
Photography: Masayuki Nakaya

⾃分の提案を喜んでもらえるパーフェクトな達成感。

ー⽊島さんとのお付き合いは、僕がお店を⽴ち上げて半年後くらいからになるので、もう 10 年以上が経ちますね。当時はそんなにキャップをつくっていなかったと思いますし、夏はペーパークロスやペーパーブレード、冬はラビットフ ァーといったクラシックなハットが中⼼だった印象があります。そもそも今ほど、帽⼦のブランドというのはなかったかもしれないです。

⽊島 今も 10 年前もそうですけど、僕は営業に関わらないというか営業しない というスタイルを取ってきたんですね。⼿前味噌になってしまいますが、いいものをつくっていれば、いつかはお客さんが来てくださる。そういった構えでやってきたからこそ、独⽴してから 25 年も続けられているのかもしれません。

ーお店のオープン当初からお取り引きしているブランドって本当に少ないんです。僕は 30歳でお店を出したんですが、今もどこか新参者の気持ちはあるんですね。⻑いところでは四半世紀もやっているお店はありますし、⽊島さんはそういったところともお取り引きされているじゃないですか。

⽊島 ありがたいことに25年もお取り引きしているお店もありますね。

ーそう思うと、僕は半分にも満たないんですよね。

⽊島 でも、2018年にはじめて<EUREKA>さんに伺ったときは、カスタムオーダー会で2⽇間お店に⽴たせていただいて。

ー僕からすれば、⽊島さんが⾃分のお店に⽴ってくださるなんて信じられない気持ちもありました。

⽊島 駅から結構離れているじゃないですか。第⼀印象としては、こんなところ にあるんだと思ったんですね。でも、休憩時間に近くの問屋街を歩いてみたら、週末で閉まっているのに雰囲気がすごく良くて。<EUREKA>さんのお店の造り⾃体も裏の駐⾞場と活⽤できるスペースがあって、今の時代のお店はこういう感じがいいのかもしれないなと思いました。雰囲気を醸し出していて周囲とも調和している。駅から離れていて周りには何もないけれども、⼈が集まる場所という気配がありましたね。わざわざ⾏くための⽬的地になっているというか。

ーありがとうございます。⽊島さんとしては、どんな意識でカスタムオーダー会を企画しているんですか。

⽊島 お店でお客さんとコミュニケーションできることを楽しみにしていて。 ⾃分の想いをダイレクトに伝えられるんですよね。「どの⾊、形がいいですか?」 と聞かれたときに、本当にその⼈に似合う帽⼦を僕なりに提案できる。だからこそ、⾃分の提案を伝えられてお客様が納得して喜んでくれたときはパーフェクトなんです。⾃分にはどれが似合うのかと悩んでいるお客様に対して、アドバイスできる機会をいただけるのは、つくり⼿としては⾮常に嬉しいですね。

ー普段のものづくりに還元されるものもありますか?

⽊島 すごくあります。パーソナルオーダーではリボンの⾊を何種類か持っていきますけど、僕が⾃分ではこれを選ばないだろうなと思っていた⾊でも、お客様が被っている姿をみて、意外といけるんだなと発⾒がありますよね。そうやって⾃分の枠を超えられる貴重な経験になっているんですよ。

⼈との出会いから拓けた道

ー2⽇間もお店に⽴っていただいたうえに、飲みにも⾏かせていただいて、いろいろと楽しかったです。僕は仕事を離れたところで、その⼈が垣間⾒える瞬間が好きなんですね。⽊島さんと僕は世代が違うじゃないですか。あのときにブランドを⽴ち上げた経緯とかを聞かせていただいて。僕が思う⽊島さんのイメージって、きっちりしているという印象なんですけど、ブランドを始めたのは半ば 勢いで右も左もわからない形で始まっていたという。モノはあるけど、どうやっ て売ればいいのか分からなかった、というお話が、すごく印象に残っています。

⽊島 知らなかったからこそ、できたというのが⼤きかったんでしょうね。逆に いろいろなことを知っていたら、怖くてできなかったかもしれない。独⽴当初は 栗野宏⽂さん(ユナイテッドアローズ上級顧問・クリエイティブディレクション 担当)にアドバイスをいただいて。栗野さんは独⽴する前から顔馴染みの⽅だっ たので、「どうやってお⾦を稼いだらいいですか?」と相談したら、「サンプルを つくって、展⽰会をやればいいんだよ」と教えてくださったんです。でも、僕か らすれば、「展⽰会って何ですか?」というノリで(苦笑)。

ー知り過ぎるといろいろな雑念が⽣まれて、勢いで進めなくなってしまいますよね。

⽊島 営業を経験したことがなかった僕にできるのはつくるだけだったので、 モノはつくれても売り⽅は知らなかったんですね。ただ、ものづくりに関しては ⾃信があったので、「いつかは……」という信念でやっていました。僕は⼈との 出会いで助けられたことが幾つかありますね。栗野さんの次に思い浮かぶのが、 スタイリストの祐真朋樹さん。これも 20 年以上前の話になってしまいますが、 独⽴前の僕はオートモード(洋服でいうオートクチュール)のアトリエで師匠 (故平⽥暁夫⽒。帽⼦デザイナーの第⼀⼈者)に師事していたんですね。

ー⽊島さんの師匠は皇室御⽤達の帽⼦をつくられていたんですよね。

⽊島 はい。当時はバブルの時代だったので忙しくて、毎⽇が終電の帰りだったんです。ファッション雑誌を読まなくなっていた時期があって、世の中からかけ 離れていたんですね。だから、スタイリストなんて全然知らなくて、祐真さんから名刺をもらっても読み⽅が分からなかったという(苦笑)。そんな出会いから 始まって、祐真さんが独⽴後に「『POPEYE』で帽⼦を貸してよ」と訪ねてくださったんです。ところが、最初の僕はメンズをやっていなくてレディースだけしかやっていなかった。「メンズ、ないんですよ」と⾔っても、毎号で借りに来てくださって、スタイリングに使っていただいたんですね。そうなると問い合わせが増えてきて、メンズもやったほうがいいかなというノリからスタートしていて。

ーメンズをやっていなかったのは、めちゃくちゃ意外でした。

⽊島 メンズをやっていなかったアトリエでしたし、<ISSEY MIYAKE>、< COMME des GARCONS>、<YOHJI YAMAMOTO>といったコレクションブランドの帽⼦をつくっていたんですね。なので、ショーのシーズンは地獄のような 忙しさでした(苦笑)。当時は東京コレクションもめちゃくちゃ⼤きかったので。

ーそういったブランドがすごく注⽬されていて、『流⾏通信』とかがテレビで やっていた時代ですよね。

⽊島 僕も出ましたからね、流⾏通信に(笑)。僕は本当にラッキーだったと思 います。『POPEYE』で祐真さんが⽊村拓哉さん着⽤という形で使ってくださったら、それがポイントになって全国のお店から問い合わせをいただいて、あれよ あれよという感じで物事が進んでいったんです。

ショーや雑誌よりも、ストリートこそリアル。

ー25 年以上のキャリアがある⽊島さんにとって、当時から⽊島さんの帽⼦を 使い続けている⼈もいれば、今の時代の若者もいるわけですけど、若者のことは 意識しますか?

⽊島 それはやはり意識しています。ずっと同じことをやっていたら、新しい世代の⼈たちには届かないですから。時代も流⾏も変わるので、その辺りは意識して取り⼊れるようにしています。

ー若者の価値観や感覚をどうやってキャッチしようとしているんですか。

⽊島 今も昔も変わりませんが、ショーや雑誌よりもストリートを⾒てイメー ジするということが多いです。特に⽇本⼈の若者はコーディネートの仕⽅がお洒落なんですよね。僕は帽⼦というアイテムに特化しているので、コーディネートが重要になってきます。帽⼦というものは、どんなにかっこいいものをつくっ ても、洋服を軸としたコーディネートに合わなければ必要ないものになってしまう。だからこそ、ショーや雑誌よりもリアルなストリートを意識して、今の若者はどんなものをどんなバランスで着ているのかを⾒るんです。そこに対して、どんな帽⼦を提案すれば、かっこよくできるのだろうということを意識してい ますね。

ー今回別注をお願いしたジェットキャップは昔からつくっていたんですか?

⽊島 やっていましたね。ひとつ覚えているのは、いま⼩林さんが被っているよ うな後ろがゴムでギャザーをとっている型はつくっていました。90 年代や 2000 年前半辺りは今よりもモード感があったので、⾦⾊のサテン⽣地なんかを使っ て、我ながらエッジーなものづくりをしていたなと。

ージェットキャップはここ最近のプロダクトなのかと思っていました。今や いろいろなブランドからジェットキャップがリリースされていますけど、僕は ⽊島さんの形が抜群に好きなんです。たとえば、海外のジェットキャップは浅いのに、⽊島さんのは程よい深さがあるんですよね。ストリートブランドのものは ラフなステッチワークだけど、⽊島さんのは内側の造りもしっかりしている。お 店でも⼈気のアイテムですけど、今の<KIJIMA TAKAYUKI>のインラインから は外れてしまっていて。

⽊島 それで別注を依頼してくださったんですね。⼩林さんがすごくジェット キャップを好きだということは知っていましたけれども。

ーもっとつくりたい⾊はありましたけど、4 ⾊で我慢しようと。スタッフに⽌められました(笑)。実は私物の<KIJIMA TAKAYUKI>コレクションを持ってきたんですよ。これは以前お願いしたウチの別注です。

⽊島 <WACCOWACCO>さんのヴィンテージバーバリーの⽣地を使った型で すね。

ー以前に⽊島さんから別注のお話をいただいて、せっかくつくっていただけるので あれば、やっぱりジェットキャップがいいなと。ただ、単に⽣地の乗せ替えだと おもしろくないということで、<WACCOWACCO>さんのヴィンテージバーバ リーを解体・再構築したコレクションを思い出して、その資材を組み合わせたジ ェットキャップを⽊島さんにつくっていただいて。僕らのお店と⽊島さんの直営店でも取り扱ってくださったんですよね。

⽊島 たしか 1 ⽇で売り切れました。<EUREKA>さんのご縁から< WACCOWACCO>さんのインラインでもコラボレーションさせていただいてい て。

ーそれが⼀番嬉しいかもしれません。ご紹介してよかったなと。そういえば、 トレンチコートの袖ストラップのディテールや元々の⽣地の継ぎ⽬もデザインとして活かす意匠は⽊島さんのアイデアでしたね。

⽊島 トレンチコートを解体する、というニュアンスはどこかに残したいです からね。僕はリクエストをもらうことは嫌いではないんです。お題をもらうのは むしろ楽しいんですよ。それに対してどう処理して、つくったものをどう思ってもらえるのか。相⼿に「よかった」と⾔ってもらえたときの達成感は何物にも変え難いですね。その「やった」という思いは、僕がコラボする相⼿のことを理解できていないと得られなくて。

ーどういうことですか?

⽊島 逆に⾔えば、「この⼈は僕に何を求めているんだろう?」とわからない⼈ とはできないんです。コレクションブランドでは、デザイナーの好みが洋服に表れているところとはコラボできるので、そういう意味で⼩林さんとはできたんですね。これまでのお付き合いもそうですし、岐⾩に伺ったときに居酒屋で話したことも⼤きかったんだと思いますよ。

制服的な帽⼦だからこそ、いろいろな⼈に被ってほしい。

ー今回のジェットキャップは 2017 年の春夏シーズンのジェットキャップが 好きで、それを復刻したいなと思ってお願いしました。でも、ただの復刻だと芸 がないので、ストリート感を出したいなと思ったんですね。そこで、お店の屋号 は気恥ずかしいから<wellport>というプライベートブランドのロゴを⼊れていただいて。

⽊島 刺繍を⼊れたいというリクエストがありましたけど、その⾊にウチらしさをプラスさせてもらいました。品良く⼤⼈でも被れる雰囲気に仕上がったと 思いますね。

ーこのシーズンだけストラップが⽩だったんですよね。夏とかはこれがすごく良くて、この仕様でお願いしたかったんです。

⽊島 来シーズンはモードにバランスを振っているので、この形はないですね。

ージェットキャップは⽊島さんの中でどんな位置付けのアイテムですか?

⽊島 勝⼿な解釈ですが、制服的な帽⼦だと思います。僕は欲張りなので、特定の誰かをイメージするのではなく、いろいろな⼈に被っていただきたいんです ね。お洒落が好き、ファッションが好きな⼈であれば誰にでも。そんな幅広いものづくりを⽬指していて。ただ、頭に乗っている物はニットキャップであろうが ハットというカテゴリーだと思っていますけどね。

ーだから「HAT MAKER」なんですね。また店頭に⽴ってお客さんとコミュニケーションをとる機会は考えていますか?

⽊島 「HIGH LINE」というハンドメイドを駆使したラインのパーソナルオーダー会をやろうと計画しています。どんな思いから⽣まれた造り、仕上がりなのかを伝えながら販売するものになるのかなと。<EUREKA>さんのカスタムオーダー会は「HIGH LINE」ではありませんでしたけど、お客さんがすごく楽しみ にして来てくださっているのが伝わってきたのが嬉しかった。また岐⾩にも⾏ きたいですね。

KIJIMA TAKAYUKI / Cotton Twill Jet Cap for EFH
Color : Beige,Olive,Charcoal,Navy
Size : Free size
Price : 13,000yen(w/o tax)